要約筆記者養成講座担当者に聞く― 必要性とその魅力 ―

要約筆記とは?
会議や講演、病院での説明など、世の中には音声情報が中心となる場面が数多くあります。
しかし、聞こえない・聞こえにくい方にとって、そうした情報は十分に届いていない現状があります。
要約筆記は、音声情報を文字で伝えることで、その壁を取り除く手段の一つです。
今回は、要約筆記者の養成講座を担当している京都府聴覚言語障害センター 意思疎通支援課課長の村上菜穂子さんに、要約筆記の必要性や利用方法、そしてその魅力についてお話を伺いました。

Q要約筆記とはどんなものですか?

要約筆記とは、話されている内容をその場で要約し、文字として伝える情報保障の方法です。
音声情報をただ文字にするだけでなく、内容を整理して要約しながら伝える点が特徴です。
方法としては、ロールや紙に手書きで書く方法と、パソコンで入力する方法の2種類があります。

Q手話通訳との違いは何ですか?
混同されることはありませんか?

対象者が異なります。
手話通訳は、手話を主な言語、コミュニケーション手段とする方への支援ですが、
要約筆記は、もともと音声で会話をしていた方や、文字で情報を理解できる方が対象です。
特に高齢者や中途失聴の方にとっては、新たに手話を習得し、情報保障として利用するのが難しい場合があります。
そのため、これまで使ってきた「文字」で情報を得られる要約筆記が多く利用されています。

Q要約筆記はどのような場面で利用できますか?

要約筆記には、大きく分けて2つの形があります。
一つは、スクリーンに文字を映し出す「全体投影」です。
これは講演会やフォーラムなど、大きな会場で行われる行事で多く使われます。他にも利用される方が複数おられる会議でも使われます。
もう一つは、「ノートテイク」や「パソコンテイク」と呼ばれる個別支援です。
利用者の隣に座って内容を書いて伝える方法で、利用される方が1~2名の会議や打ち合わせ、病院での説明など、日常のさまざまな場面で利用されています。
京都府では要約筆記の派遣事業があり、府の事業だけでなく、市町村ごとに事業があり、制度が設けられています。
地域によっては「聞こえにくい」という申告だけで利用できる場合もありますが、多くの場合は身体障害者手帳を持っている方が対象となります。
申し込みは、
・各聴覚言語障害センター
・福祉事務所
・市役所
などで受け付けています。

Q要約筆記について思うこと。
やりがいや成長の実感は感じるものですか?

要約筆記のやりがいは、要約筆記者にとって自身のやりがいのために実施しているものではないので、最終的な副産物だと思っています。
毎回「完璧にできた」と思えることはなかなかありません。振り返りや反省をして、次に活かしていくことを意識しています。
要約筆記者は、84時間以上の講義を受けた上で、更に実践の中でも技術を磨いていきます。
現在はICTの発展により、自動で文字化する技術も進んでいます。
ただ、利用者一人ひとりの聞こえ方や、会議の状況に応じて柔軟に対応できるのは、やはり人です。
要約筆記者は単なる技術だけでなく、「対人援助技術」も身につけています。
そうした、人にしかできない部分にこの事業や制度の価値があると感じています。
今後はAIと共存しながらも、人だからこそできる役割がある分野です。
より多くの人に認知され、要約筆記者が増えていくことを願っています。

Q養成講座はいつから始まりますか?


Q要約筆記養成講座は皆さんに受講してほしいですね?

特別な資格や経験は必要ありません。
しかし、パソコン要約筆記では1分間に80文字以上が打てることといった条件はあります。
更に、講座終了時には1分間に100文字を目指し、現場では120文字以上が必要とされます。
手書き要約筆記も文字が書けるからできる、ということだけではなく、要約筆記の三原則「速く・正しく・読みやすく」に応じられる力が必要です。
一見、「文字を書く」「パソコンを打つ」だけが意識されがちですが、「聞く」「理解する」力も必要な力です。
さいごに
聞こえにくさを感じる方は増えているように思います。
要約筆記について、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
連絡先はこちら
京都府聴覚言語障害センター
0774-30-9000


