【まとめ】2025年度 聴覚障害者の職場での合理的配慮を考える
2025年度 京都府聞こえとコミュニケーション サポートセンター事業
聴覚障害者の職場での合理的配慮を学ぶ
聴覚障害者の職場での合理的配慮について学ぶ本企画は、4回目を迎えました。
2025年度は「当事者による合理的配慮を考える座談会」をテーマに、
これまで働いてきた、現在働いている聴覚障害当事者の思いに触れる機会として、
5名の方にご登壇いただきました。
座談会では、職場でのコミュニケーションの工夫、合理的配慮として求められる環境づくり、働く中で感じた課題や前向きな経験など、多様な視点から率直なお話を伺うことができました。本座談会はオンデマンド配信にて実施し、多くの方にご視聴いただきました。 ご視聴いただいた皆さま、ご登壇いただいた当事者の皆さまに心より感謝申し上げます。
座談会の内容
第1部:自己紹介と職場での困りごとや工夫してること

登壇者から、職場でのコミュニケーション方法や困りごとについて意見をだしあった。会議や電話の内容が聞き取りづらく、業務理解が難しい場面があること、また「難聴だと働けないと思われるのではないか」という不安から、障害について打ち明けられなかったという声が挙がった。コミュニケーション補助としてアプリを使用しているが、誤変換が多いことや電波状況によって使用できないことが課題として示された。参加者からは、「障害があっても働き続けられると寄り添ってもらえる一言が何よりも心の支えになる」という意見もあり、安心して相談できる環境づくりの重要性が確認された。
第2部:企業ヒアリングを受けた意見
企業ヒアリングをもとに、登壇者が実践している工夫や経験を共有した。
<会議について>

👤会議の参加者が10名程度までであればロジャーを活用し、さらに文字起こしアプリも併用して情報を補っている。
👤文字起こしアプリの誤変換に気づいた際には、隣の人に確認する。
👤また、会議の要点が分からないことがつらかった経験から、事前に議題や資料を予習する習慣を身につけていた。
<電話対応>

👤日頃の話し方を観察し、「この人の電話は聞き取りが難しい」と感じた場合には、他の職員に対応をお願いするなどの工夫をしている。
👤職場でLINEが使用できるため、どうしても聞き取れない場合には文字で伝えてもらっている。
👤電話対応を免除してもらう代わりに、LINEやメールでの問い合わせ対応を引き受けたい気持ちがあったが、なかなか言い出せなかった
まとめ
合理的配慮は“特別扱い”ではなく、職場全体を良くするための工夫だという考え方が重要。当事者は自分を責める必要はなく、職場は一緒に考え、相談し合える環境をつくることが求められる。その積み重ねが心理的安全性を高め、組織の力にもつながる。行政や支援機関も含め、みんなで柔軟に取り組むことで、誰もが働きやすい職場が実現する。
視聴者の感想
「すいません、ということが多くなった」とのお話がありました。自分も同じだったと思いました。ここを乗り越えられるか、障害を受け入れられるかがターニングポイントのような気がしました。その先に、職場問題や家庭、学校などの諸問題が立ち塞がるような気がします。
合理的配慮は当事者のためにやってあげるものではない。情報保障は誰のためにやるのか、当事者が「ごめんなさい」と言わなくていいように話し合える環境をという話が印象的でした。
合理的配慮は特別扱いではなく、健聴者に負担を強いるものでもなく、「職場を良くするための工夫」と言われたことが印象に残った。
補聴器の聞こえ方は様々で、周りは補聴器を装着していれば聞こえていると思っている…確かに思い当たる。知っているようで知らないことが多いと気付いた。
最後に
「聴覚障害者の職場での合理的配慮を学ぶ」を終えて
京都府中途失聴・難聴者協会 西岡 保
オンデマンドでの配信により、受講者数134名(団体視聴者数を含む)、視聴回数208回という多くの方に、社会福祉法人京都聴覚言語障害者福祉協会と共に企画したものをご視聴いただき、たいへん嬉しく思います。また、アンケートにより多くの貴重なご意見やご感想もいただくことができました。
今回の目的は、「聴覚障害者、特に難聴者の職場での合理的配慮は見えない障害であるが故、聞こえも人それぞれ千差万別である故に、なかなか法整備が整っていても、形になり辛い特徴がある。そういった中、現役の様々な職場で働く当事者の方の生の声を聞き、どのようにすれば合理的配慮が形作られるのかを考える機会としたい。現在働く当事者の方、後進の当事者が自分らしく活き活きと働くことを目指し、前向きな内容で発信をする。」というものでした。ご視聴いただけた方からのご感想を引用し、この目的に沿って振り返りたいと思います。
ご視聴いただいた方の何名かの方から、心に響いた登壇者発言として、「合理的配慮としての情報保障というのは、誰のためにするのかということを当事者も企業も行政の方も、みんなで考えて欲しい。」というものがありました。「コミュニケーションとは、互いの考えや感情を伝え合い、わかり合う意思疎通や情報伝達のこと(情報伝達には手話や非言語的な文書も含まれる)」という意味合いも含めて、たいへん重要な学びになったと考えます。
本当に障害を持っている当事者のためだけの情報保障なのでしょうか?コミュニケーションは「互いの」となっており、双方向であるはずです。また、障害を持っている当事者に自己責任はないはずです。 このことを皆さんが、もう一度考えてみるいい機会となったのではないかと考えています。
難聴者が仕事に必要な情報やコミュニケーションを得ることで、働きやすくなり能力を発揮できれば、企業にとっても良いことであり、また他の同僚たちも、それぞれの働きやすさを求めていくきっかけになるかもしれません。合理的配慮は特別扱いやわがままではなく、働く人にとって当たり前のこととなれば、難聴者だけでなく、誰にとっても安心して働ける職場になるのではと思います。こうした学びを受け、合理的配慮を形作るために各々の持ち場持ち場で当事者には、自分らしく活き活きと働くために「自らが聞こえついて発信できるよう、変わることの大切さ」を知って欲しい。企業には、合理的環境調整を職場一体になって進めることのメリットを考え、「チームビルディングによる組織の風土改革」「メンバーの心理的安全性の向上」にもつなげて欲しい。行政には、企業に対し「聞こえを学ぶ場の提供」し、障害を学ぶことの大切さを啓発して欲しい。として前向きな発信ができたと考えています。
これからは多様性の時代であり、聴覚障害だけでなく、視覚障害をお持ちの方、知的障害をお持ちの方、外国の方、いろんな方と仕事をする機会が増えてきます。従来の意思疎通では対応が難しいとしても、時代に合ったインクルーシブな考えに基づく合理的配慮として、「双方向での情報保障」という視点がとても重要ではないかと考えています。
お知らせ
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~京都府・京都市中途失聴・難聴者協会における労働分野での課題解決に向けての活動~
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